朝に血圧が高いとなぜ危険?自宅での測定方法・朝と夜の差は?
朝に血圧が高くなる方が増えています。
普段は血圧は正常値なのに朝だけ血圧が高くなり、
早朝に高血圧になると寝ていることもあり危険性が高いのです。
こうした方は、普段の血圧測定では正常なため、ご自身が高血圧であることがわからないこともあるので、注意が必要です。
なぜ朝だけ血圧が高くなるのでしょうか?
ここでは、原因と血圧を下げる対策をご紹介いたします。
朝に血圧が高いとなぜ危険?
昼間に健康診断などで血圧を測定すると正常値なのに、朝に血圧が上がる方などを「仮面高血圧」といいます。
仮面高血圧は、寝ている夜に血圧が高い方、朝方に血圧が高くなる方などがいます。
どちらも健康診断では問題が出ないので、高血圧であることが発見しづらいので、危険性があると言われています。
朝に血圧が上がるのは2つのタイプがあります。
- 夜から朝にかけて血圧が上がっていくタイプ
通常、寝ている間は、血圧が10-20%下がっていき、低血圧になるのが健康的な血圧です。
ですが、寝ている間に血圧が上がる方は、寝ている間に徐々に血圧が上がっていき、朝方にかけて最大の血圧になっていきます。
寝ている時の上の血圧が150mmHg以上なら、118mmHgの人よりも脳卒中などの血管系疾患のリスクが4倍以上になります。
急性心筋梗塞は、朝6時~10時に起きる割合が多いのもそのためです。
夜に血圧が上がる原因は、血圧を下げる降圧剤を使用していて効果が切れる場合や、無呼吸症候群、糖尿病ななどの病気が関係していることがあります。
- 急に朝に血圧が高くなるタイプ
寝ている時は、血圧は下がって安定していても、朝に血圧が急に上がる事があります。
血管系疾患の患者さんだと、他の時間帯に比べ早朝は、他の時間帯に比べ、約3倍、心筋梗塞などが起きやすい時間帯で注意が必要です。
急に朝に血圧が上がる原因は、自律神経が関係しています。
血圧は、自律神経の交感神経と副交感神経で血圧を調整しています。
交感神経(緊張状態)が優位になると血圧が上がり、副交感神経(リラックス状態)が優位になると血圧は下がります。
寝ていると、副交感神経が優位になりますが、朝方は自律神経の乱れがあり、血圧のコントロールができず急に上がりやすくなります。
また、降圧剤を飲んでいる方は、朝は血中濃度が低くなっているため、降圧剤が効きづらい時間帯なのです。
そのため、朝に起きた時に、血圧が急に上がってしまうことが多いです。
夜から朝にかけて血圧が上がるタイプは、急に朝に血圧が上がるタイプの方より危険です。
夜から朝にかけて血圧が上がるタイプは、朝に上がるタイプに比べて約2倍、血管系の病気になるリスクがあります。
というのも、夜にずっと血圧が高い状態になっていると、血管・心臓などの臓器に長時間、負担をかけるためです。
睡眠は、1日の1/4~1/3を占めているため、体への負担がかかるのです。
まずは、夜・朝に血圧が上がっていないか、ご自宅で血圧計で測定してみることが大事です。
朝の血圧が高いのを自宅で測定する方法・朝と夜の差は?
朝に血圧が上がる方は、普通の健康診断では正常値になるので、発見することが難しいです。
そのため、ご自宅で、血圧計を使って、就寝前と起床後に血圧を測って診断をします。
- 寝る前と起きた時に血圧を測定する
家庭用の血圧計を使い、夜寝る前・朝起きた時の1時間以内の血圧を測定します。
家庭用の血圧計は、正常な値を測定できるよう上腕で測定する血圧計がよいです。
指先や手首で測定する血圧計は、便利ですが誤差が出やすいと言われています。
また、家庭で測る血圧は、病院で測る血圧より、10mmHg程度低く出ることが多いです。
家庭で測る時はリラックスしていることが多いため、血圧も低く出やすくなるためです。
- 寝る前の血圧と起きた時の血圧の差と平均を算出する
朝と夜の上の血圧(収縮時血圧)を使い、以下の計算をします。
<朝と夜の血圧差をチェック方法>- 朝の上の血圧値-夜の上の血圧値=差 →20mmHg以上なら早朝高血圧
- (朝の上の血圧値+夜の上の血圧値)÷2=平均 →135mmHg以上なら早朝高血圧
上の血圧で、朝と夜の差が20mmHg以上、朝と夜の平均が135mmHg以上なら、早朝高血圧の可能性が高いです。
早朝高血圧と分かったら、早めに病院にて検査をすることをおすすめします。
また、睡眠時だけでなく普段から血圧を上げないような生活をすることも大事です。
<睡眠中に血圧を上げないために注意すること>- 夕飯の塩分は控える
- 日中にウォーキングなど軽い運動をして睡眠の質を高める
- 寝る前に水分を取る(飲み過ぎない程度に)
- たばこ、アルコールは控える
- リラックスする(夜にTV・映画などを見て興奮しない)
- 糖尿病、無呼吸症候群など他の生活習慣病がないかチェックする
早朝高血圧になる危険性とは?どのような病気になる?
早朝高血圧は、起床する直前に血圧が上がっている上に、起きて動くことで血管の病気のリスクを高めます。
起床後1時間以内は心筋梗塞、起床後2時間以内に脳卒中が多く発生する傾向にあります。
睡眠から朝に目が覚めるまでに、自律神経の交感神経が優位になり、血圧が上がりやすいためです。ですので、睡眠時にすでに血圧が高いとさらに上がってしまう危険性があるのです。
そこで朝の時間帯に血液がドロドロの状態で血圧が上がり、「血栓」ができやすくなります。「血栓」が、朝に発症する大きな病気の原因になります。
「血栓」は、血液中の成分である血小板が固まって、血管を塞いでしまい血流を止めてしまうのです。
この「血栓」がどこで起きるかによって、心筋梗塞・脳卒中などが発症します。
コレステロールや中性脂肪が血管の壁にたまってくると、血管が破れやすくなり敗れた血管に血小板で止血します。
その血小板のかたまり(血管のカサブタ)が、高血圧などで血流に流されると、血栓になります。
早朝高血圧は、血圧だけでなく、コレステロール値や中性脂肪などの成人病に関する検査数値もチェックして、改善する必要があります。
まとめ
- 早朝高血圧は、通常の血圧測定では分からないことが多いので危険です
- 朝に血圧が上がるのは、夜から朝にかけて血圧が上がるのと急に朝に上がる2つのパターンがある
- 自宅で寝る前・起きた後の血圧を測定して、差と平均値を調べることで早朝高血圧か判断できる