認知症はMRIで分かる?異常なしでもしておきたいMCI・SPECT検査とは
MRI検査で異常なしなら、認知症も問題ない・リスクはないのでしょうか?
テレビ・雑誌などで、認知症の事例として、脳細胞が萎縮している画像が紹介されています。
アルツハイマーの患者さんの多くは、脳の側頭葉の内側から血流低下して、前頭葉・後頭葉・海馬などが萎縮していきます。
ただ、初期症状の段階で、脳の萎縮が始まっているのを診断するのは、かなり難しいです。
そのため、認知症の診断は、MRI画像だけでは診断が難しいとされています。
ですので、認知症を診断するには、MRIやCT画像だけでなく、複数の診断を組み合わせることが一般的です。
そこで、認知症をMRIで異常なしとされても、認知症リスクを診断する方法についてご紹介します。
目次
認知症はMRIで分かる?異常なしでも安心できない?
認知症は、MRI画像だけでなく、SPECT・口頭検査などを組合せて診断します。
MRIの画像でも、脳の萎縮を認知症の進行が分かります。
ですが、脳の萎縮が目に見えて分かるレベルになると、認知症がかなり進行していることが多いです。
すると、治療の選択肢が少なくなっていることがあります。
そのため、認知症が心配な方は、MRI以外の検査も診断して頂きたいです。
認知症の診断は、MRIは過去の画像データと比較する
認知症は約10年~20年、若年性認知症は約10年ほどかけて、ジックリ進行していきます。
脳細胞の萎縮もわずかな進行だと、1回のMRI画像だけでは分からないです。
ですので、MRI画像は、過去の画像と比較して、診断することが必要です。
人間ドック・脳ドックなどで、MRI検査をした時は、MRIの画像データをCDでもらうといいです。
別費用が少しかかることがありますが、依頼するとMRIの画像データをCDにしてくれます。
他の病院に行ったときなどでも、CDを持参すれば、過去の脳の状態と比較できます。
また、脳梗塞・脳内出血のリスクを見るときにも役立ちます。ですので、MRIをした時には、CDでMRIデータをもらっておいてくださいね。
MRIで分かる脳が萎縮する場所は?
脳の萎縮する場所によって、認知症の症状・タイプが変わってきます。
認知症の発症は、脳の血流が悪くなることがから始まります。
脳の血流低下の時点では、MRI画像では判断が難しいです。
脳の血流低下の後、脳の萎縮が始まっていきます。
アルツハイマー型
側頭葉の内側(主に海馬)の血流が悪くなり、MRIで前頭葉・後頭葉に萎縮が見られるようになります。
海馬は、新しい記憶を持っている場所です。
海馬の機能低下が、「物忘れ」として認知症の症状として現れるようになります。
血管性認知症型
血管性認知症は、脳卒中による後遺症から発症しやすいです。
血管性認知症の発症で、前頭葉に異常が見られるようになります。
前頭葉は「脳の司令塔」と言われ、行動・思考・判断・意欲などを司ります。
前頭葉の機能が低下すると、だらしなくなる、判断ができなくなる、意思疎通・コミュニケーションが上手くできなくなるなどの症状がでます。
レビー小体型
レビー小体型認知症は、後頭葉に萎縮が見られるようになります。
後頭葉は、視覚を制御する機能があります。
そのため、後頭葉の機能低下をすると、見ていないものを見る(幻視:げんし)などの症状がでます。
前頭側頭型
前頭側頭型は、前頭葉・側頭葉に異常が見られるようになります。
側頭葉、は言語を制御する機能があります。
前頭側頭型が進行すると、言葉の意味が分からなくなる、怒りっぽくなる、自分勝手な行動が多くなるなどの症状が出ます。
MRI以外の認知症検査は?
MRI以外の認知症検査は次のものがあります。
SPECT検査(DATスキャン)
薬剤注射して、脳を断層撮影して、脳の血流を検査します。
MRIは脳細胞の見た目しか分かりませんが、SPECT検査は脳の血流状態を検査できます。
SPECTは認知症の早期発見ができる検査機器として注目されています。
認知症のレビー小体型など初期症状が分かりにくい認知症の進行度・重度が診断できます。
ただ、SPECTの機器は、全国のどの病院にもある機器でないため、検査する時は設備がある病院を選ぶ必要があります。
血液検査
血液検査で、アルツハイマー型認知症の原因になっている、タンパク質の血中濃度を検査します。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβ・タウたんぱくといったタンパク質が脳の神経細胞に溜まっていきます。
血液検査で、アルツハイマー型認知症のリスクを診断できます。
MMSE(ミニメンタルステート検査)・長谷川式認知症スケール
MMSE・長谷川式認知症スケールは、認知症の専門医が、記憶力・計算力・言語能力などを調べる口頭のテストをします。
MMSE・長谷川式認知症スケールは、認知症の早期発見にかなり役立っている検査です。
日常生活で、ちょっとした物忘れなどをしても、その場が過ぎると、そのまま放置されてしまいます。こうして放置すると、認知症の初期症状のサインを見逃してしまうことが多いです。
ですが、改めて認知テストをすると、記憶力などの脳の働きがチェックできるのです。
さらに、医師が口頭質問しているときの患者さんの振る舞いなども見て、認知症リスクが高いかも確認できます。
「認知症のテスト」というと、ちょっと敷居が高く感じますが、認知症が心配な方は、是非受診して頂きたいです。
認知症の症状がなくてもMCIの検査を
認知症の症状がなくても、40代を過ぎたら、MCI(軽度認知障害)の検査を受けておきたいです。
MCI(軽度認知障害)は、認知症が発症する前の「初期段階」です。
日常生活には問題なく、認知症の診断はされませんが、「認知症予備軍」とされています。
MCIは、40代・50代の方が多くいるとされ、65歳以上に認知症になるリスクが高い方です。
MCIの状態は、次のことが気になるようであれば、病院で初期診断を受けてみてはいかがでしょうか。
- 物忘れが激しくなったと感じる
- 周りの人・家族から物忘れが多くなったと指摘がある
- 仕事などで記憶ミスがある
- 日常生活に支障はない
物忘れは、病気による物忘れと、加齢による物忘れがあります。
病気の物忘れが多くなっていないか、チェックしてみてください。
持病に糖尿病・高血圧・脂質異常などがあれば注意
持病に糖尿病・高血圧・脂質異常があると、認知症リスクが高まると言われています。
糖尿病は、インスリンの分泌が脳細胞へ影響して、アルツハイマー型認知症になりやすくなるとされます。
そのため、血糖値が高くなりすぎないよう、食事・運動で血糖値をコントロールするようにしたいです。
また、高血圧も、脳卒中(脳梗塞・脳内出血・クモ膜下出血など)のリスクを高めます。
脳卒中になると、後遺症により認知症になりやすいことが分かっています。
脳梗塞は自覚症状がなく起きていることがあるので、高血圧の方は、血圧を日頃から上げないようにすることが大事です。
脂質異常は、血液をドロドロにして、脳卒中や糖尿病のリスクを高めるので、合わせて予防したいです。
認知症にならないためには、糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病を予防することが大事です。
また、認知症の初期段階・MCIの段階で、早期発見・早期治療ができるようにしておきたいですね。
まとめ
- MRIが異常なしでも認知症かどうか分からない・診断が難しい
- 認知症の診断は、MRI以外に、SPECT・MMSE・血液検査など総合的に判断する
- 認知症は初期段階(MCI)で早めに発見して、治療することが大事