クモ膜下出血から認知症になる?後遺症で気になったらすること
クモ膜下出血から認知症になる発症リスクが高まると言われています。
クモ膜下出血の後遺症は、水頭症(すいとうしょう)・血管攣縮(けっかんれんしゅく:血管が縮み血流が悪くなる)などがありますが、認知症になりやすいことは意外と知られていないです。
クモ膜下出血以外の脳梗塞・脳内出血など脳卒中になると、脳の血流が悪くなり「血管性認知症」というタイプの認知症のリスクが高まります。
認知症は、アルツハイマーが有名です。
ですが、アルツハイマーは認知症の中では65歳以上の認知症全体の約43%です。
次に多いのは、血管性認知症・アルツハイマーの併発で、約34%。
64歳以下の年代では全体の39.8%が「血管性認知症」です。
ですので、クモ膜下出血から認知症になるリスクは、発病していないときより高まるため、予防・対策が必要なんですね。
そこで、クモ膜下出血から認知症になる割合、後遺症の症状で気を付けたいことなどについてご紹介します。
クモ膜下出血から認知症になる?気を付けたい術後の後遺症
クモ膜下出血から認知症になるリスクは高まる傾向があります。
脳血管疾患による認知症(血管性認知症)の原因で、クモ膜下出血は約18.8%を占めています。
クモ膜下出血というと、頭部のくも膜と軟膜の間の血管が破れて出血する病気ですが、脳血管が何かしらの原因で縮んで虚血状態になり脳梗塞が起こりやすくなります。
また、後遺症としてケイレン・マヒ・うつ症状が起きやすくなります。
中でも、うつ症状は、認知症のリスクを高めるので注意が必要です。
<クモ膜下出血から認知症になる症状とは?>
- せん妄(せんもう)
脳血管障害により、意識が混乱した場合に、軽度の意識障害になります。(せん妄)
すると、意識がもうろうとなります。もうろうとしたまま、歩きまわったりすることがあります。
夕方~夜に歩き回るなど行動することも多く「夜間せん妄」になる方もいます。
せん妄の状態になると、幻覚・幻聴・錯覚などで興奮状態になることがあります。
- 認知症と正常な状態が変わる(まだら認知症)
血管性認知症は、認知症の状態と、正常な状態が日ごとに変わるようになることがあります。
今日はなんか変だな?と思っていたら、次の日は問題なく、次の日はまた変な行動を取ったりします。
脳血管障害が起きている時は、認知症の状態になり、障害がないと正常に戻るのです。
まだら認知症を繰り返していく度に、症状がどんどん悪化していきます。
段階的に症状が悪くなっていくように感じられます。
そのため、周囲の方も最初は気付きにくいです。何か変だな?と思ったら、早めに医師に相談することをおすすめします。
- 簡単なことが出来なくなる
以前から知っていること、出来ることが急にできなくなります。例えば、服を着替えるのに、どの服にするのか、ボタンを掛けるなどの作業ができなくなります。
自分ではなぜ出来ないか分からず、家族が気付くケースが多いです。
- 質問の答えに時間がかかる
「今日は何曜日?何日?」といった質問に答えるのに時間がかかるようになります。
アルツハイマーの場合は、新しい記憶を喪失することが多いです。
ですが、血管性認知症は、新しい記憶も古い記憶も持っていて、血管障害により上手く使えないことが多いです。
時間を取ってゆっくり答えを待ってあげることが大事です。
- 感情の起伏が激しくなる
アルツハイマーも同様の症状がありますが、気分の高揚・低下が激しくなります。
怒りっぽくなったり、意欲がなくなることがあります。
「性格が急に変わった」ことで、家族・知人の方が気付くことが多いです。
クモ膜下出血から認知症になることもあるため、予防・備えはしておいて頂きたいです。
クモ膜下出血から認知症を予防するには?
クモ膜下出血から認知症を予防するには、まずクモ膜下出血の再発防止、脳梗塞の発症予防が重要です。
クモ膜下出血の再発率は、5年で約55.0%、10年で約70.0%です。
脳梗塞の再発率に比べて、非常に高いため、再発防止のリハビリ・生活習慣を送って頂きたいです。
再発防止は、血圧のコントロールをすることが重要です。
クモ膜下出血になった根本原因を改善しないと、また発症するリスクが高いのです。
特に、塩分が多いなど食べ物の好みや、運動不足など生活習慣が大きく関わってきます。
医師のサポートのもと後遺症の軽減、リハビリ生活を送って頂きたいです。
また、実はアルツハイマーを含めた認知症の原因は、糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病とされます。
クモ膜下出血の原因の1つである高血圧も、認知症の予防に繋がるので、生活習慣病を予防すると、認知症・クモ膜下出血再発も予防できるのです。
そのため、クモ膜下出血の術後は、生活習慣病を予防する生活を送ることが大事なのです。
認知症が気になったらすぐ病院へ
認知症を診断できる医師は、認知症専門の神経内科・精神科などの医師です。
クモ膜下出血を診てもらった先生は、認知症の専門ではないので、認知症の先生を紹介してもらうとよいです。
できたら同じ病院で、認知症も一緒に診断してもらうと、先生同士で連携できていいですね。
ただ、認知症の診断は、MRI、SPECT、PETなどの機器が必要になることがあります。
また、認知症のテスト(MMSE)も専門医に診ていただいたほうが確実です。
そのため、認知症が気になったら、まず主治医の先生に相談し、同じ病院に認知症専門医がなければ、別病院にて診断してもらうといいです。
また、認知症は、各都道府県・政令指定都市ごとに「認知症コールセンター」、市町村ごとに「地域包括支援センター」で電話相談・サポートをしてくれます。
クモ膜下出血に認知症と心配なことが多いかと思いますが、早めに相談してみて頂きたいです。
まとめ
- クモ膜下出血から認知症になるリスクは高くなる(血管性認知症)。
- 血管性認知症の症状の特徴は「まだら認知症」「せん妄」「簡単なことが出来なくなる」こと。「
- 認知症が気になったら、担当医か、地域の認知症コールセンター、地域包括支援センターに相談する。