痩せていても糖尿病になる?肥満よりも重症化する原因・症状は
痩せていても糖尿病になるでしょうか?
糖尿病=肥満、というイメージがありますよね。
ですが、最近になり痩せ型の方でも糖尿病になる方が増えています。
高齢の糖尿病患者さんの約30%が「サルコペニア」と言われています。
サルコペニアとは筋肉・骨・関節が衰えて運動機能が低下することです。
サルコペニアの方は、肥満の指標値である「BMI」は痩せ型~正常に分類されることが多いのです。
ですが、BMIが痩せ型でも糖尿病になることがあるんですね。
そこで、肥満でないのに糖尿病になる原因・痩せ型の方が重症かなどについてご紹介します。
目次
痩せていても糖尿病になる?
痩せていても糖尿病になることはあります。
糖尿病の原因は、肥満とは直接関係ありません。
血液中にブドウ糖が多い「高血糖状態」が長時間続くことが問題になります。
高血糖状態が続く原因は、インスリン抵抗性が高い、リウマチ・膠原病・アトピーなどでステロイド剤(薬)を使っていることなどが挙げられます。
血中の高血糖状態は、血管をボロボロにしていきます。
血管の中でも末端にあり、細い毛細血管からボロボロになっていきます。末端の毛細血管に十分な酸素・栄養が行き届かなくなるのです。
そのため、糖尿病の症状として、毛細血管が多い目の網膜、手足などが侵されて、網膜症・手足の神経症になります。
その結果、糖尿病が進行すると、失明・足の皮膚の壊疽などが起きます。
また、腎臓も毛細血管が多くあります。腎臓には血液中の老廃物を濾過する機能がありますが、濾過機能が低下します。
すると、体中の老廃物を尿から排出でない腎臓病になります。人工透析では、人工的に血液の老廃物を濾過する必要が出てくるのです。
ですので、痩せていても肥満であっても、血液が高血糖な状態が続くと糖尿病になるのです。
インスリン抵抗性とは?
糖尿病というと、インスリンが出なくなる・・などと話をよく聞きます。
どういうことでしょうか?
そこで、注目したいのが「インスリン抵抗性」です。
インスリン抵抗性とは、体にインスリンの働きがどれくらいあるか?です。
インスリン抵抗性が高いとインスリンの抵抗が高く、体へのインスリンの働きが鈍いことを意味します。低いと、インスリンが効果的に効き目がある事を意味します。
インスリン抵抗性は低い方がいいんですね。
インスリンは、血液中の高血糖状態を下げてくれる働きがあるホルモンです。
インスリンは膵臓(すいぞう)の「ランゲルハンス島・β細胞」で作られるホルモンです。
膵臓には、「ランゲルハンス島・α細胞」もあり、「グルカゴン」というホルモンもあります。グルカゴンはインスリンとは逆に血糖値を上げる作用があります。
- インスリン:血糖値を下げる働きがある
- グルカゴン:血糖値を下げる働きがある
膵臓のα細胞・β細胞から、グルカゴン・インスリンが分泌され、血液中の血糖値をコントロールしています。
血糖値が下がらない理由
痩せていても太っていても、食べ過ぎや運動不足になると、ブドウ糖が消費されず、血液中にブドウ糖(血糖)が高い状態が続きます。
すると、膵臓からインスリンを分泌して、体内の血糖値を下げます。
ですが、食べ過ぎ・運動不足の状態が続くと、インスリンをいくら分泌しても、血糖値が下がらないようになります。
また、加齢などにより膵臓・β細胞が衰えてきて、インスリンの分泌量が減ってくることがあります。
さらに、インスリンを分泌しても血糖値が下がりにくい体質になることも原因になります。
- 膵臓・β細胞の衰えでインスリンの分泌量が減って血糖値が下がらない
- インスリンの分泌は十分だが、インスリンの効果が低く、血糖値が下がらなくなる
- インスリンの分泌量が少なく、インスリンの効果が低く、血糖値が下がらなくなる
痩せ型で肥満でないのに糖尿病になる方は、インスリンの効果が低い「インスリン抵抗性が高い」状態になっている可能性があります。
どのタイプかは、血液検査などの精密検査で確認する必要があります。
痩せ型の糖尿病の症状は?
痩せ型の糖尿病の症状は、肥満の方と同じです。
糖尿病の初期症状は、あまりなく、見過ごされがちです。
ですので、肥満の方よりも痩せている方のほうが発見が遅れて、糖尿病の治療が遅くなることが重症化するケースが多いのです。
痩せていてまさか糖尿病になるとは思わない方が多いんですね。
ですが、高齢の方ほど、痩せ型+糖尿病になりやすいので注意したいです。
糖尿病が進行すると次のような症状が出ることがあります。
- 喉が渇く
- 尿の回数が増える(頻尿)
- 尿の量が多くなる
- 甘いものが欲しくなる
- 強い疲労感がある
- たくさん食べてもやせる(太らない)
これらの自覚できる症状は、かならず出るわけではありません。
健康診断のヘモグロビンA1c、血糖値などの値が異常値になって、気付くことが多いです。
痩せ型の糖尿病を検査する方法
痩せていても糖尿病になるリスクがあるか検査するには「ヘモグロビンA1c」を調べるとよいです。
ヘモグロビンA1cは、過去数ヶ月の血糖状態を知ることができます。
血糖値は、血圧同様に食事・運動などをすると変化します。
健康診断で前夜から食事抜きで朝いちに血液検査をするのは、空腹時の血糖値を調べるためです。
ただ、空腹時血糖値だけでは、食べ物を食べればすぐ上がり、そのまま下がりやすいかなど血糖値の変化を調べるのは難しいです。
そこで、糖尿病の検査の1つとして、ヘモグロビンA1cが使われるようになっています。
ヘモグロビンA1cは、血液中にあるヘモグロビンと糖質が結合したグリコヘモグロビンという物質です。
ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で酸素を運ぶ働きがあります。
血液中にブドウ糖があると、ヘモグロビンと結合します。ヘモグロビンの寿命は約120日(4ヶ月)と言われているため、ヘモグロビンA1cの血中濃度を調べることで、約数ヶ月の血糖値の状態を知ることが出来るのです。
インスリン抵抗性を検査するには?
糖尿病の方が家族にいる場合は、インスリン抵抗性の検査を受けて頂きたいです。
また、リウマチ・膠原病・アトピーなどでステロイド剤の薬を使っている方も検査して頂きたいです。
インスリン抵抗性は体質(遺伝)することがあり、高いと糖尿病になるリスクがかなり高いです。
高いインスリン抵抗性(高インシュリン血症)は、インスリンを分泌しても、血糖値が下がりにくい体質なのです。
インスリン抵抗性の検査(ブドウ糖負荷試験:OGTT)
次のタイミングで75gのブドウ糖(トレーランGデンプン分解溶液)を飲む。
- 空腹時
- 30分後
- 60分後
- 90分後
- 120分後
ブドウ糖を飲んだ後、5回採血を行い、インスリン値、Cペプチドを検査する。
Cペプチドはインスリン分泌時に一緒に分泌される物質で、膵臓から分泌された正確なインスリンの量をみるのに使われます。
痩せていても糖尿病になる方は、血糖値を上げている原因を検査して頂きたいです。
家族性の高インシュリン血症は、体質で血糖値を下げづらい体質になっています。
また、リウマチ・膠原病・アトピーなどでステロイド薬を使っている場合も、高インシュリン血症になっている可能性があります。
肥満=糖尿病でなく、糖尿病は誰もがなりうる病気ですので注意したいですね。
まとめ
- 痩せていても糖尿病になることがあり、検査を定期的にすることが大事
- 遺伝などの体質でインスリン抵抗性が高い場合は、早めに検査して糖尿病予防する
- リウマチなどのステロイド薬を使っている方もインスリン抵抗性が高くないか検査する
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