脂肪肝の痛み・症状は?治すための良い食べ物・飲み物は?
健康診断や人間ドックの4人に1人が脂肪肝の疑いがあると診断されています。
脂肪肝は肝臓の病気の中でも特に多く患う方が多い肝疾患です。
脂肪肝は、アルコールの飲み過ぎが原因と思いがちですが、アルコールを全く飲まない方でも脂肪肝になる方が増えています。
アルコールが原因の脂肪肝は、アルコール性脂肪肝といい、アルコール以外の肥満などが原因の脂肪肝は、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝炎)と呼ぼれます。
NAFLDでも、さらに重症化しにくいNAFL(非アルコール性脂肪肝)と重症化しやすいNASH(ナッシュ・非アルコール性脂肪肝炎)に分類されます。
特にNASHは、肝硬変・心臓病などの成人病との合併症などのリスクが高まり、アルコール性脂肪肝よりも重症化しやすいので注意が必要です。
アルコール以外の脂肪肝・NAFLDの方のうち、5人に1人がNASHと診断されており、重症化する前に早めに治療することが大切です。
ここでは、脂肪肝の症状や治療方法、治すためによい食べ物・飲み物をご紹介します。
脂肪肝の痛み・症状は?
脂肪肝は痛みなど自覚できる症状はほとんどありません。
しかし脂肪肝の方の多くは、食べ過ぎ・飲み過ぎ・肥満といった生活習慣が大きく関わっているため、自覚症状はなくても思い当たるフシはあるかもしません。
場合により、疲労感・右上の腹痛・膨満感といった症状がある方もいますが、ほとんど気付くのが難しいです。
脂肪肝は、食事で取り過ぎたエネルギーが消費されないと、皮下脂肪・内臓脂肪に蓄積されます。肝臓の細胞(肝細胞)にも球状の脂肪(脂肪滴)が溜まっていき、脂肪が占める割合が肝臓全体の3分の1以上になると脂肪肝と診断されます。
脂肪肝は放っておくと、幹細胞が硬くなって肝臓が機能しなくなる「肝硬変」のリスクが高まり危険な状態になります。
脂肪肝には、アルコールの飲み過ぎが原因になるアルコール性脂肪肝と、アルコールは飲まないが脂肪・糖質の取り過ぎが原因になる非アルコール性脂肪肝(NAFLD)があります。
非アルコール性脂肪肝炎(NAFLD)は、約5人に1人がNASH(ナッシュ・非アルコール性脂肪性肝炎)という重症化しやすい脂肪肝になります。
NASHになると肝臓に炎症が起きたり線維化して肝硬変になるリスクが高まります。NASHはアルコール性脂肪肝より重症化しやすいと言われているので注意が必要です。
NAFLDからNASHになる原因は分かっていませんが、インスリンの影響・遺伝的な影響が関係していると言われています。
<脂肪肝の種類と原因・治療法>
脂肪肝の種類 | 説明 | 治療方針 |
---|---|---|
アルコール性肝障害 | アルコールの飲み過ぎで発症 | 禁酒・生活習慣の見直し |
NAFLD(非アルコール性脂肪肝) | 糖質・脂質の取り過ぎで発症 | 肥満解消など生活習慣の見直し |
NASH(非アルコール性脂肪肝炎) | NAFLDから重症化しやすい | 肥満解消など生活習慣の見直し |
肝臓の細胞は、再生する性質があり、炎症が起きても元に戻ります。
ですが、炎症のスピードが再生のスピードを上回ると肝臓の機能が低下して肝硬変などのリスクが高まります。自覚症状はありません。
脂肪肝は、重症化する前に原因になるアルコールや肥満を解消すれば薬物治療などの治療は必要なく、生活習慣飲み直しで改善できます。
糖尿病などが関係する場合は、薬物治療なども合わせて治療が必要です。
脂肪肝を治すには?治療方法とは
脂肪肝が重症化していなければ、食事・運動・肥満解消などをすることで脂肪肝を治療していきます。
食事・運動をして体の余分な脂肪を減らし、肝脂肪を減らしていくことで、肝臓の細胞は再生し、元に戻るようになります。
肥満解消のために、急激なダイエットは避けて、1ヶ月に1kgを減らすのを目安に適正体重にしていくことをおすすめします。
<脂肪肝を治す治療・食事療法>
カロリー | 1日のカロリーは体重1kg当たり25~35Kcalに抑える |
---|---|
脂質 | 総エネルギの20%以内にする、肉・脂を控える |
糖質 | お菓子など甘いものは食べないようにする、フルーツも糖質が多い |
タンパク質 | 植物性のタンパク質を取る |
アルコール | 禁酒 |
脂肪肝の主な原因は、カロリーの取り過ぎ・脂肪・糖質・アルコールのとり過ぎです。
食事からのエネルギーの取り過ぎは肝臓に負担がかかるので「腹八分目」で食事はやめるようにします。
・1日の総カロリーを抑える
・夜のご飯の量を減らし、朝・昼にしっかり食べる
・脂っぽいもの、揚げ物などは出来るだけ避ける
・食事はゆっくり噛んで食べる
脂肪肝によい食べ物は?
脂肪肝の方は、1日の総カロリーを抑えることを念頭に、幹細胞を再生する良質なタンパク質を適量取るとよいです。
タンパク質は、動物性と植物性があります。動物性タンパク質の方が効率よく処理されますが、脂肪も含まれるので適度に取るようにしたいところです。
動物性タンパク質と植物性タンパクを上手く組合せて食べることが脂肪肝によい食べ物の取り方です。
<脂肪肝によい食べ物>
動物性タンパク質の食品 | タンパク質の量 |
---|---|
カツオ | 25.8g/一切れ100g |
ウナギの蒲焼 | 23.0g/一切れ100g |
本マグロ刺身 | 21.1g/一切れ80g |
豚もも肉 | 16.4g/一切れ80g |
さば | 16.2g/一切れ80g |
紅鮭 | 15.8g/一切れ80g |
あじ | 14.5g/一切れ70g |
豚肩ロース肉 | 14.5g/一切れ80g |
植物性タンパク質の食品 | タンパク質の量 |
---|---|
マカロニスパゲティ | 13.0g/100g |
大豆 | 10.6g/30g |
豆腐 | 9.9g/150g |
納豆 | 8.3g/50g |
きなこ | 7.1g/20g |
小豆 | 6.1g/30g |
<脂質が多い食べ物>
脂肪肝の場合、脂質を抑える必要がありますが、脂っぽいものを避けるだけでなく、食品に入っている脂肪分にも注意が必要です。
脂肪分が多い食品 | 脂質量 |
---|---|
牛ばら肉 | 40.0g/一切れ80g |
豚バラ肉 | 27.7g/一切れ80g |
マカデミアナッツ | 23.0g/30g |
アーモンド | 16.1g/30g |
鶏皮もも | 15.7g/30g |
カップラーメン | 14.8g/1個75g |
ソーセージ | 14.3g/50g |
クロワッサン | 13.4g/50g |
フライドポテト | 13.2g/50g |
脂肪肝によい飲み物は?
脂肪肝によい飲み物は特別ないですが次のような脂肪肝によい栄養素をとることで肝臓の正常化が期待できます。
フルーツは糖分が多いので取り過ぎは注意が必要です。
・ビタミンB群:脂質・糖質・タンパク質の代謝を促す
牛乳
しじみの味噌汁
・イノシトール:肝臓の脂肪が貯まるのを防ぐ
オレンジ、グレープフルーツジュース
・カテキン:抗酸化作用、幹細胞を守る
緑茶
まとめ
- 脂肪肝はアルコールが原因のアルコール性脂肪肝と非アルコール性のNAFLDがある
- NAFLDが重症化するとNASH(ナッシュ)になり、肝硬変などに重症化するリスクが高まる
- 脂肪肝によい食べ物・飲み物は、脂質・糖質を抑えて良質のタンパク質を取り食べ過ぎなこと