脳梗塞の初期症状・前兆は?しびれ・めまいのサインで予防するには
脳梗塞になる方が高齢化に伴って急増加しています。
脳梗塞以外の脳疾患(脳卒中)も合わせると、日本で250万人以上の患者さんがいて今後300万人以上になると言われています。
高脂血症や糖尿病の方、心房細動などの心臓疾患、高血圧の方は脳梗塞になるリスクが高いです。
脳梗塞には初期症状・前ぶれがあります。3人に1人が初期症状・前ぶれを経験していて5年以内に脳梗塞を発症すると言われてます。
脳梗塞の初期症状は、TIA(一過性脳虚血発作:Transient Ischemic Attack)と呼ばれる予兆があります。
TIAは、軽い脳梗塞のような症状で脳の血管に血栓が一時的に出来て、数分から長くても24時間以内に消えます。TIAは一時的な症状のため、年齢のせい、疲れのせいなどと思って、脳梗塞の初期症状を見落としてしまうことがあります。
TIAが起きたら、異変を早めに察知して病院で検査して、重い脳梗塞を発症することを予防することが大切です。
ここでは、脳梗塞の初期症状・前ぶれや、頭痛やめまいといったサインを見逃さないコツをご紹介します。
脳梗塞の初期症状・前兆は?
脳梗塞は初期症状・前兆としてTIA(一過性脳虚血発作)という一時的に脳の血管が詰まり、手足のしびれなどが起きることが知られています。
TIAの初期症状は、本格的な脳梗塞を起こす前に一時的に起きるもので、脳梗塞を起こした方の3人に1人が体験している初期症状です。
これらの初期症状は、疲れや体調不良、加齢によるものと思いがちですが、脳梗塞の予兆を知らせる重要なシグナルです。
気になる初期症状が出たら、疲れや体調不良のせいにせず、すぐに病院で検査することが大切です。
<脳梗塞の初期症状・前兆 TIAとは?>
- 体の片側のしびれ・マヒ
脳梗塞の前ぶれの多くは、一時的に体の左右のどちらかの手足にしびれが起きたり、手足の麻痺・感覚がなくなったようになります。
急に手足のしびれが起きたり、物を持とうとして手が物をうまくつかめないようになります。
症状が出ている時間は2分~15分が多く、長くても24時間以内に収まります。
手足のしびれ・麻痺は、動脈硬化により血管内に血栓ができ、脳の血管が詰まることが原因で脳が手足の神経に指令が出せない状態になります。
血栓は小さいものだと、数分~数時間で自然に血管内で溶けて症状は収まります。
- ろれつが回らない
言葉を話そうとして、ろれつが回らず上手く話せなくなります。
普通に話をしようとしても口がうまく回らないで、言葉にならなくなります。
話している相手は聞き取れないので、聞き返されても上手く話ができない状態になります。
疲れている時に上手く話ができないと思いがちですが、ろれつがまわらないことがあれば早めの検査をして頂きたいです。
- めまい・ふらつき
脳梗塞の前兆のめまいは、立っていられないような状態のめまいが発生します。
脳梗塞が原因のめまいは2種類あります。
世界が回っているようなグルグルと回転するタイプと、ふらふらと浮いているような浮遊性のタイプです。
めまいは、脳梗塞以外にも貧血・メニエール病など病気の症状としてよくありますが、いづれにしても、急にめまいがするときは、病院での検査をして頂きたいです。
- 視野が欠ける・物が見えづらい
脳梗塞の初期症状が目に影響する場合、片方の目が見ている視野の半分が黒くなり見えなくなったり、暗くなってみえなくなることがあります。
血栓が目のの動脈に詰まると片方の目が見えなくなることがあります。
この初期症状は、「一過性黒内障(いっかせい・こくないしょう)」といい、目が見えなくなるので眼科に行くことが多いですが、脳梗塞の症状を疑っておくことも大事です。
糖尿病・高脂血症の方で一過性黒内障になる方が増えているので注意が必要です。
脳梗塞の初期症状は、前ぶれが合ったのにもかかわらず病院に行かない・行けないことで本格的な脳梗塞を引き起こすケースが多いです。
しびれ・麻痺などの症状は、2分~15分程度で消えてしまうことが多いので、楽観視してしまうことが多いです。
症状がなくても、病院で診察を受けて、脳梗塞が起きないような予防をすることが重要です。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流不足により神経に障害が起きる病気です。
脳の血管に関する病気は、大きく「出血性脳卒中」と「虚血性脳卒中」の2種類があります。
出血性脳卒中は、脳の血管が敗れる脳出血、動脈瘤(どうみゃく・りゅう)が破裂して出血するクモ膜下出血があります。
虚血性脳卒中(きょけつせい・のうそっちゅう)は、血管が動脈硬化を起こし、血液のかたまりが脳に詰まり、脳に血液が送られないことで神経に障害が起きる病気です。
脳梗塞は、虚血性脳卒中の1つで、頸動脈などの動脈の血栓が脳に流れてきて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、心房細動など心臓病が原因で血栓が脳に詰まる「心原性脳梗塞」、高血圧などで細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」があります。
脳梗塞は、高血圧・糖尿病・高脂血症などの病気と併発することがあるので、既往症がある方は、日頃から血管の健康には気を使うことが大切です。
脳梗塞の前兆を検査 しびれ・めまいのサインはスグに病院へ
脳梗塞の初期症状(TIA)は、体の片方だけがしびれ・麻痺・ろれつがまわらない・片方の目が見えないなどがあります。
初期症状は数分で消えてしまいますが、病院に行ってもムダと考えず、症状をできるだけ具体的に医師に話すことでTIAの可能性で検査・予防ができます。
<TIAで行う検査は?>
- CTスキャン
X線を使って脳を輪切りにして脳梗塞を起こした場所を特定します。
TIAの場合は、すでに血栓が消えていることが多く、CTスキャンでは見れないことが多いです。
そのため、MRIでの検査がメインになります。またCTスキャンは、X線(放射線)を使うため、何度も連続して検査できません。
- MRI検査
MRIは、X線ではなく磁気を使って脳の血管の詰まりなどを高精度で調べることができます。
TIAで脳の血管が詰まった直後であれば、血管のつまりをMRIで特定することも可能です。
脳を立体的に画像で見ることができ、血管狭窄(血管がコレステロールが張り付くなどして狭くなっている)もチェックすることが出来ます。
- 頸動脈・超音波検査
首にプローベという機器を付けて、超音波で首にある頸動脈の状態を調べます。
脳梗塞は、頸動脈が動脈硬化を起こし、血栓(血のかたまり)が脳の血管に流れて詰まることが多いため、頸動脈の状態を検査することが大事です。
頸動脈の動脈硬化の状態を調べることは、
頸動脈超音波検査は、TIAの検査、脳ドックの検査では必ず行う検査です。
脳梗塞の初期症状・予兆の段階では、脳梗塞と明確に診断できるケースは少ないですが、脳梗塞が起こりやすいかどうかをチェックできます。
脳梗塞のリスクが高いのであれば、脳梗塞を予防することができるので、本格的な脳梗塞になる前に検査をしていただきたいです。
脳梗塞の予防・対策は?
脳梗塞の予防をするだけで、脳梗塞の発症リスクをかなり減らすことができます。
本格的な脳梗塞を発症する前に、できるだけ脳梗塞の予防・対策をしておくことが大切です。
<脳梗塞の予防・対策>
- 高血圧・糖尿病・高脂血症を抑える
高血圧・糖尿病・高脂血症などの既往症があれば、食生活で塩分を減らす・糖分を減らす・脂肪分を減らすことで動脈硬化が進まないようにすることが大切です。
脳梗塞は、高血圧・糖尿病・高脂血症が引き起こす病気の1つですので、根本原因の病気を悪化させないようにします。
さらに、動脈硬化が進まないような生活習慣をすることが大切です。
- 水分を補給する
水分が不足すると血液の濃度が高くなり、血栓が出来やすくなります。
そのため、細かな水分補給が大切です。少しずつの量を2,3時間置きに飲むと効果的です。
特に、寝る前、朝起きた時、風呂の前後、運動の前後に水分補給をしてください。
暑くても水は冷たくせず、常温か温めたものを飲むと体に負担が少ないです。
- 薬による治療
病院で検査をして、脳梗塞のリスクが高いと判断されたら、血栓ができづらくする抗血小板剤が処方されます。
医師の指示を守って服用すれば、動脈硬化・脳梗塞の予防をすることが出来ます。
ただ、薬を一度飲み始めると、ずっと飲むことになるケースもあるため、医師と相談の上、脳梗塞の予防をして頂きたいです。
脳梗塞の初期症状から病院に行くまで不安であれば、こまめに水分を取り、激しい運動などをせず血圧を上げるようなことはしないようにして、処方薬があれば飲み忘れないようにします。
まとめ
- 脳梗塞の初期症状(TIA)は、体の片側のしびれ・麻痺、ろれつがまわらない、目が片方見えなくなるなどの症状が出る
- TIAのは、2分~15分程度で症状がなくなるが、出来るだけ早く病院で検査をすることで本格的な脳梗塞を予防できる
- 脳梗塞の予防は、高血圧・高脂血症・糖尿病などの既往症との関係が深いので、既往症の改善と一緒に対策する