認知症の方に言ってはいけない言葉・していけないことは?
認知症の方は、直近の記憶・将来の予定などの記憶がなくなりやすいです。
家族としては、最初はなぜ忘れてしまうか分からないことと思います。
すると、どうしても言葉を荒げてしまったり、キツく当たったりしがちです。
ですが、認知症の方もご自身の変化に戸惑い、困惑しています。
そのため、感情の起伏が激しい、性格が変わった、などと言われるのです。
そこで、認知症になった方に言ってはいけない言葉、してはいけないことをご紹介します。
認知症の方に言ってはいけない言葉は?
認知症の方に言ってはいけない言葉は次の通りです。
<認知症の方に言ってはいけない言葉は?>
- 「何度言ったら分かるの?」
- 「やらないでって言ったでしょ」
- 「さっき言ったでしょ」など責める言葉
認知症の方は、近傍記憶(きんぼう・きおく)を失うことが多いです。
「今」体験していることは「ワーキングメモリ」という一時的な記憶に残りますが、数分経つと、忘れてしまうことがあります。
通常、体験したことは記憶として「海馬」に貯蔵します。認知症の方は、海馬での血流が低下し、脳神経が縮小することで、記憶に関する働きが悪くなるのです。
ですので、どうしても、話したこと・言ったことを忘れてしまうんですね。
そのため、何度も同じことを言っても、忘れてしまう、という繰り返しになります。
そこで「何度も言ったら分かるの?」「さっき言ったでしょ」と言われた時は、本人もなぜ忘れてしまったか不本意な心境になります。
上手く覚えられない、ということはご自身でも納得がいかないことや、不条理に思っていることがあります。
特に、若い頃に記憶力が良かった方、仕事が出来た方などは、そのギャップに戸惑っているのです。
ですので、物忘れが多くても、あまり感情的にならずに、大事なことはメモで残すなど、対処していきたいです。
ですが、細かいことを逐一忘れてしまうと、コミュニケーションが難しく疲れてきてしまいます。
そこで、忘れても仕方ない、と受け入れて対応するとよいかと思います。
- 「よくできましたね」など子供扱いした言葉
子供に話すかのように「はい、よくできましたね!」といった話しかけは、認知症の方に言うのは良くないです。
認知症の方も、記憶障害はありますが、1人の人格はしっかりあります。
ですので、子供扱いされるのは不本意です。
ただ、認知症でお世話になっているため、上手く抗議できずガマンしていることもあります。
ずっと子供扱いされていると、不甲斐ない気持ちもあり、感情的になることがあります。
普段の1人の大人として、言葉を選んで話すことが大事です。
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- 馴れ馴れしい言葉、タメ口など
馴れ馴れしい言葉や、タメ口は、高齢者からは違和感を感じます。
中高年の方は馴れ馴れしい方が、親近感を感じると思いがちです。
ですが、高齢者の中には、年上の方にタメ口・馴れ馴れしい言葉をかけられると、不快に感じることがあります。
このような不快な言葉は、介護拒否・BPSD(行動・心理症状)につながることもあります。
高齢の方には、一定の敬意を示して、接することが大事です。
認知症の方は、記憶力が低下したり、今まで出来ていたことが出来ない、といった変化に困惑しています。
ですので、それに輪をかけて、言葉で認知症の方を責め立てるのは、認知症の方・介護する方にとってもお互いによくないです。
介護される方は、認知症についても理解を深めて認知症の方と向かい合って頂きたいです。
認知症の方の心理状態は?
認知症の方は、自分の記憶・行動・能力の低下に戸惑い、どうしてよいか分からず苦しんでいます。
認知症になった方は、次のような心理状態になっているといえます。
- 相手の言っていることが全く思い出せない
- 身に覚えがない事を言われる
近傍記憶が喪失することで、数分~3ヶ月以内に体験したことをまるまる忘れてしまいます。
そのため、自分がしていないことをしたかのように言われ、困惑します。
寝ている時に寝言を言ったのを覚えていないのと似ています。
全く記憶がないのに、自分は過去に体験していることになっているのです。
記憶の喪失は、不安・困惑をもたらします。
- 過去に出来ていたことが急にできなくなる
電子レンジの操作など、簡単なことが急にできなくなります。
特別に難しい操作でもないのに、どのように操作したら上手くいくのか分からなくなります。
なぜ、急に簡単なことが出来ないくなったのか?困惑・不安を感じるようになります。
- どうしても言ったことが相手に伝わらない
- 相手が何を言っているか分からない
自分が言いたいことが相手に上手く伝わらない、相手が何を言っているか理解できない、といったこと日常茶飯事のように起きます。
相手との会話が上手くいかなくなると、コミュニケーションに不安を感じるようになります。
相手の話が分からない、自分の話が伝わらないと、自分だけが孤立しているような不安感・恐怖を感じます。
特に、家族の方と話が通じず、感情的に喧嘩などしてしまうと、どうしてよいか分からなくなります。
さらに、喧嘩したことも忘れてしまい、家族との距離感が離れてしまうことがあるのです。
認知症になると、困惑・恐怖・不安などをかかえながら、生活しています。
記憶がなくなる恐怖・困惑・不安は、理解するのは難しいです。
そのため、出来るだけ介護する方は認知症の方の気持ちなどを汲み取りながら、接していただきたいと思います。
まとめ
- 認知症の方に言ってはいけない言葉は、責める言葉・子供扱いした言葉・タメ口など。
- 認知症になると、自分の変化に困惑・不安・恐怖を感じながら過ごしている
- 介護する方は認知症の理解を深めて、尊重して接する
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