血糖値が高いとどうなる?インスリン分泌異常の症状と病気リスク
血糖値が高いと体に悪いと言われますが、具体的にどうなるか分かりづらくなりですか?
血糖値が上昇すると、糖尿病になるリスクが高まります。
実際のところ、血糖値が高くても症状もなくて、いまいちピンと来ませんよね。
ですが、血糖値が高い状態が5年・10年と続くと、糖尿病以外にも、心筋梗塞・脳梗塞など危険な病気に進展する可能性が高いのです。
糖尿病は、血管を傷めつけるため、発症すると一生付き合っていかないといけない危ない病気なのです。
症状が出始めた頃には、体質を改善するのは難しかったりします。
そこで、血糖値が高いとどうなるか?なぜ病気になるか?インスリン分泌異常との関係についてご紹介します。
血糖値が高いとどうなる?
血糖値が高いとは、血液中のブドウ糖濃度が、健康時の濃度=約100mg/dlに保たれないことを意味します。
血糖値が高いとどうなるかというと、次のような血管のトラブルが生じるリスクが高くなります。
<血糖値が高いとどうなる?>
- ブドウ糖から糖化タンパクが生成
ブドウ糖が血液中のタンパク質と結合し「糖化タンパク」が作られます。
糖化タンパクは、血液をドロドロにする原因になり、血栓などができやすくなる
- ブドウ糖の代謝物「ソルビトール」が増加・血管細胞が膨張
ブドウ糖が血中に増えすぎると、血管細胞の吸収処理が間に合わず代謝物のソルビトールが増加します。
ソルビトールにより血管細胞が膨張して、血管障害が起きます。
- 体の末梢神経の細胞の働きが低下
血液がドロドロになり、毛細血管で通じる抹消神経への血液の流れが悪くなります。
血液の流れが悪くなることで、末梢神経から、知覚神経・運動神経などの神経異常を起こすようになります。
そのため、目の網膜、足先、手先などの末端の神経や、皮膚などにしびれ、無感覚、視力低下などの影響が出ます。
ブドウ糖は、脳や筋肉を動かすエネルギーとして使われていて重要な役割があります。
血液中に増えたブドウ糖は、肝臓や筋肉でエネルギーになるために、グリコーゲンという物質に変わります。また、余ったブドウ糖は、体の脂肪に変化します。
ですが、ブドウ糖が過剰に血中にあると、代謝が間に合わず血管にダメージを与えてしまうんですね。
そのため、血液中のブドウ糖は「インスリン」により、一定の濃度に保たれるようになっています。
インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌されることで、食事で増えたブドウ糖を減らす役割をしています。
糖分の取り過ぎなどで、インスリンの分泌が上手くコントロールできなくなると、糖尿病になります。糖尿病になると、インスリンのコントロールをさせるための治療をずっとしていく必要があります。
血糖値が高い症状はあるの?
血糖値が高いと症状は、初期段階では自覚症状はありません。
健康診断などの血液検査などで高血糖値(ヘモグロビンA1c等)が見つかるケースが多いです。
高血糖値の状態が続くと、インスリンの分泌がされなくなってきて、次のような症状が現れてきます。
- 異常に喉が乾く
血液中のブドウ糖濃度が高いため、水分を欲するようになります。
そのため、1日に水を何リットルも飲むようになります。
自覚症状としては、異常な「喉の渇き」です。
また、水を沢山飲むため、普段よりもトイレに行く回数が増えます。(夜間の頻尿も増える)
尿のニオイが、甘い感じの匂いが出ることもあります。尿に処理できなかったブドウ糖が含まれるためです。
- 眼がかすみ、ピントが合わなくなる
血糖値が高くなると、末梢神経に障害が出始めます。眼の網膜などの毛細血管に栄養が行き届かないようになり、眼のかすみ、視力低下、ピントが合わないなどの自覚症状が現れます。
40代になると、老眼になったかも?と思う方もいますが、健康診断の結果や、喉の渇きなどの他の症状も合わせて、自覚症状が出たら早めに糖尿病対策をしていただきたいです。
- 手足がしびれる
手の先、足の先が、ピリピリとしたしびれ・痛みが出るようになります。
高血糖により、抹消神経の毛細血管に血液の流れが悪くなるためです。
また、足がむくんだり、こむら返り、手・足をつるようになることもあります。
- 異常な食欲があるが、体重は増えない
特に何もしていないのに、食欲が旺盛になります。
常にお腹が空いていて、間食の量も増えていきます。
かなりの量を食べていても、体重は増えないことがあります。場合によっては、食べても体重が減っていくこともあります。
高血糖で体がブドウ糖を吸収しきれなくなっており、食べ物を上手くエネルギーに変えられないために、空腹になります。沢山食べても体に吸収できずに、体重が落ちていくのです。
血糖値が高いと起きる病気のリスク
血糖値が高いと、糖尿病になるリスクが増えます。
糖尿病は一度なると、血管にダメージが残り、改善するのは難しい病気です。そのため、糖尿病の初期症状が出た段階で、早めに治療・対策をすることが大事です。
糖尿病は、生活習慣病と合併症になることが多く、他の病気になっていないかのチェックも大事です。
<血糖値が高いとなる病気>
- 動脈硬化→脳梗塞・心筋梗塞
血糖値が高めの糖尿病予備群でも、脳梗塞・心筋梗塞になるリスクは、健康時の1.5倍~2倍になると言われています。
高血糖で、ドロドロ血になると、動脈硬化のリスクが高まります。
動脈硬化は、血管の周りにプラークと呼ばれる「血栓の元」ができます。プラークにより、血管内の血液が通りづらくなるため、高血圧にもなります。
血栓の元が成長して、血管が詰まると、脳梗塞・心筋梗塞などが発症します。
動脈硬化も、自覚症状がなく、健康診断などで血液検査・頸動脈超音波検査をすることで、状態が分かります。
血液検査で、脂質異常など動脈硬化が疑われる時は、早めに検査をしておいて頂きたいです。
- 糖尿病神経障害 →壊疽、外科手術
糖尿病により、末端神経に血流が悪くなると、神経障害が起きます。
放っておくと、皮膚の壊疽(えそ)、足の切断など非常に危険度が高いです。
皮膚は皮膚組織に栄養がいかなくなるため、カンジダ症・おでき・壊疽・感覚がなくなるといった、神経異常の症状が出てきます。
たかが糖尿病と思って放置していると、取り返しの付かないことにもなりますので、注意して下さい。
- 糖尿病網膜症→失明
網膜の毛細血管に血液が十分にいかなくなり、眼が見えなくなってきます。
最初は眼のかすみ、ピントがずれる、視力低下を感じますが、徐々に視力がきつくなっていきます。
- 糖尿病腎症→人工透析・腎臓病
腎臓には、糸球体(しきゅうたい)という血液の老廃物をろ過する組織があります。
高血糖で糸球体への血流が悪くなると、心臓に負荷がかかり、糸球体のろ過機能が低下します。すると、血液に尿で排出すべき老廃物がたまり、腎臓病になるリスクが高くなります。
腎臓病が悪化すると、血液のろ過を人工的に行う人工透析が必要になります。腎臓病がさらに悪化すると、腎不全・尿毒症になり、危険な状態になります。
血糖値が高いと自覚症状がなく、問題ないと思われがちですが、放っておくと、糖尿病になるリスクが高いです。
糖尿病になると、体中の血管にダメージを与えてしまい、一生病気と付き合って行かないといけないくなる可能性が高いです。
血糖値が高い状態なら、食生活などの改善だけでも、インスリン分泌を正常化させ、血糖値を下げる体質に戻せます。
健康診断などで、高血糖・糖尿病リスクがあるなら、早めに改善をして頂きたいです。
まとめ
- 血糖値が高いと、血液中のブドウ糖の濃度が下がらなくなり、ドロドロ血になり血管障害・神経障害になる
- 血糖値が高いままにすると、糖尿病になる可能性があり、合併症も起きやすい
- 糖尿病になる前に、食生活などで血糖値を下げるようにするだけでも、糖尿病リスクは下がる