脳出血とクモ膜下出血の違いは?前兆や症状を知って予防するには

脳出血 クモ膜下出血 違い

脳出血・クモ膜下出血、脳梗塞など脳の血管の病気になる方が増えています。

高齢化や糖尿病などの成人病の患者さんが増えており、脳の血管の疾患になる方も増えています。有名人や芸能人の方でもクモ膜下出血・脳出血、脳梗塞になるなどのニュースが出ているので心配になる方も多いと思います。ただ、脳出血・クモ膜下出血の違いなどをハッキリ何が違うのかわからない方も多いのではないでしょうか。

クモ膜下出血・脳出血・脳梗塞などの脳の血管の病気は誰もがなる可能性があるので、前兆や初期症状を知っておき、適切に対処しておくことが大事です。

脳出血は、冬の寒い時は血管が収縮して血圧が急に上昇・下降しやすく突然、脳出血が起きやすいです。

脳出血は、主に脳の中のある5つの血管からの出血で、前兆があまりなく突然に脳出血が起き、早い治療をしないと危険な脳の病気です。

脳出血は出血量が少ないと、数分程度で収まることがありますが、再度発症するリスクは非常に高く、徐々に悪い状態になりやすいです。

そのため、脳出血の初期症状を把握しておき、疑わしい脳出血の症状があればすぐに病院にいって検査・治療が必要です。脳出血は前兆が分かりづらいので日頃からの体調の状態や、定期的な検査が重要になります。

脳出血は、重症化すると血の塊が脳組織を押し出して「脳ヘルニア」という症状になります。脳ヘルニアになると、柔らかい脳の組織が血腫で押し出されて、生命を維持する脳の中枢部にダメージを与えかねません。

ここでは、脳の血管の病気である、脳出血とクモ膜下出血の違い、前兆・初期症状・予防方法などをご紹介します。

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脳出血とクモ膜下出血の違いは?

脳出血とクモ膜下出血の違いは、出血をする脳の血管の種類と場所で大きく違います。

脳出血は、脳内の比較的細い血管が破裂して出血するのに対して、クモ膜下出血は脳の外にある脳動脈に動脈瘤(どうみゃく・りゅう)というコブが出来て破裂・出血します。

クモ膜下出血は脳を覆うクモ膜という膜の下で出血し、脳動脈という太い血管が破裂するため、出血量が多くなると危険な状態になりやすいです。

脳出血とクモ膜下出血は「出血性脳卒中(頭蓋内出血)」という脳の血管が破裂して出血する点では同じといえます。

脳出血とクモ膜下出血は似ているようですが前兆・症状・起きやすい時間帯・条件が異なりますので、どちらもチェックしておいて頂きたいです。

<脳出血とクモ膜下出血の違いを知って重症化を防ぐには>

  • 発症時の症状の違いは?

    脳出血・クモ膜下出血とも突然、脳の血管が破裂して出血するのが特徴です。

    脳で出血が起きると次のような違いがあります。

    • 脳出血

      脳内のどこで出血するかによって変わりますが、ほとんどの場合、頭痛と吐き気、手足のしびれが起きることが多いです。

      右側の脳で出血が起きると、左側の手足にしびれ・マヒなどの症状が現れることがあります。

      脳出血の約40%は、被殻出血(ひかく・しゅっけつ)という脳の中央にある被殻という部分で起きます。脳の中央部で出血すると脳の神経を司る場所に病巣が及ぶことがあります。出血後血が固まって血腫(けっしゅ)になると、神経系などに影響をあたえるため、マヒ・感覚障害・失語などになります。

      被殻以外では、視床出血、皮質下出血、脳幹出血、小脳出血など脳の5つの場所で出血が起きやすいです。

      脳出血の症状が疑われたら、早めに救急車を呼ぶ事が大事です。脳出血の場合、出血量が少ないと動けるようになるので、自分で病院に行こうとする方がいますが、再発リスクが高いため自分で歩いて病院に行こうとしないようにしてください。

    • クモ膜下出血
    • クモ膜下出血が発症すると、頭に石で殴られたような頭痛が襲います。ちょっと痛いのではなく、相当痛い頭痛で継続的にずっと続きます。

      頭痛と一緒に吐き気・嘔吐を伴うこともあります。直前までは気分が悪くなかったのに、急に激しく嘔吐をします。

      出血してから数時間経つと、首の後ろ側が固くなってきて首が前後に動かしづらくなります。手足が引っ張るようにまっすぐになり、痙攣することもあります。

      頭痛が始まってしばらくすると意識を失うことも多く、重篤化する可能性が高く、早めに救急車を呼ぶ必要があります。

  • 前兆はある?

    脳出血、クモ膜下出血とも血管が破裂するハッキリとした前兆はないことが多いです。

    ただ、動脈瘤(コブ)が出来て出血する場合は、コブが大きくなり脳を圧迫することで、物が二重に見える・片側の目が開かない・視野の一部が欠けるといった視覚の症状がでることがあります。

    また、コブが原因で血栓ができると血管が一時的に詰まるTIA(一過性脳虚血)になることもあります。

    どちらも脳の血管・コブが破裂するため、血圧が高めな方に発症しやすいです。脳出血の約80%の方が高血圧が原因で出血すると言われています。

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  • 起きやすい時間帯・時期は?

    脳の血管が破れるのは、脳の血液の圧力が高くなる時です。脳の血流が急に多く流れると、固く細い血管を破ったり、コブを破裂させるのです。

    そのため、血圧が上がりやすい時間帯・時期が脳出血・クモ膜下出血が発症しやすいです。

    一番起きやすい時期は、11月~3月の気温が寒い冬の時期です。寒いと血管が熱を放出させないように血量を少なくさせるために血管が細くなり、血圧が上がります。

    脳出血を起こしやすい時間帯は、朝7時~10時頃、夕方17時頃~22時頃です。

    朝は、血圧が下がっている状態から出掛けたり外に出ることで血圧が急上昇するからです。夕方は、活動量が増えている時に夜の気温が下がったり、風呂上がりなどに血圧が急上昇して、脳出血を発症しやすいです。

    血圧が高い方は、血圧を下げる努力も大事ですが、脳血管などの血管の状態も定期的に検査して、動脈瘤などの危険な因子を取り除いて置いて頂きたいです。

  • 検査で分かる?

    脳出血やクモ膜下出血は、前兆が起きていても実際に出血しないとCT・MRIでは分からないこともあります。

    出血が認められる場合は、CTスキャンで白く出血の後が確認できます。ですが、出血量が少ない場合はCTスキャンでは分からないこともあります。

    MRI検査は、血管にできた動脈瘤(コブ)を確認することが出来、事前にクモ膜下出血などの兆候を検査できます。MRIの中でも、水分子の動きを捉えるDWI(拡散強調画像)を使えば、発症した数時間前の病巣を発見することもできます。ただ、MRI検査でも、コブが小さかったり、脳の場所によっては確認できないこともあります。

    MRA検査は、MRアンギオグラフィーといい、脳の血管だけを抜き出して、血管が細くなっている場所、動脈瘤の場所を確認できます。

    MRAはMRIと同じ装置を使って検査できるので、負担は少なく簡単に検査できるのが特徴です。

    クモ膜下出血の検査は、さらにCTA(CTアンギオグラフィー)というヘリカルCTスキャン装置を使い、頭部を三次元で血管の中の様子を細かくチェックすることができます。

    脳の血管の病気が心配な方は、最低でもMRI/MRAで検査して頂きたいです。病院の人間ドックのオプションである脳ドックなどでもMRI/MRAを取れる病院が増えていますので、定期的に検査をして頂きたいです。

脳の血管が一時的に詰まるTIAの症状は、脳梗塞の危険サインです。脳梗塞・TIAについてはコチラでチェックしてくださいね。

脳出血・クモ膜下出血を予防するには?

脳出血・クモ膜下出血とも前兆はあまりないため、高血圧などの脳の血管疾患になる危険な原因をできるだけ予防することが大切です。

  • 風呂は湯船に浸かりすぎない

    高血圧の方は、風呂で湯船に長く使っていると血圧が上がり、血管に負担をかけますので、時間を短くする、半身浴などの予防が必要です。

    お風呂で湯船にしっかり浸かると、体温が急上昇し、血圧も急上昇します。またお風呂の水圧により心臓に負担がかかります。

    そのため、冬場は寒いですが、あまり熱すぎない温度のお風呂で血圧が上がり過ぎない程度にとどめます。

    また、風呂上がりで風呂の着替え時に、風呂場の温度と外の温度に差があると、血圧の変化が激しくて脳出血をすることもあります。風呂好きな方は注意をしてください。

  • 急な運動・血圧が上がる作業をしない

    急に運動を始めたり、血圧が上がる作業を続けてしないようにします。

    血圧を下げる・健康のために運動をすることは良いことですが、いきなり始めると良くありません。

    ランニングよりもウォーキングといった負担が軽いスポーツに変えるようにします。激し目な運動をする時は、かかりつけの医師に相談の上、スポーツのインストラクターなどの方と相談して、適切な時間・準備体操などをして行っていただきたいです。

    また、引っ越しや掃除などで重いものを運んだりすると血圧が上がりやすいです。チョット血圧が上がってるな?と思ったら、すぐに安静にしてムリな作業はしないようにして下さい。

  • 定期的な検査

    脳出血は前兆が分かりづらいですが、定期的に検査をしていれば血管の異常を見つけることができます。

    検査をしていれば必ず病巣を見つけられるとは言い切れませんが、出来だけ自分の血管の状態を知っておくことで、ムリをしなくなったり食生活などの改善で脳の出血を予防することができます。

    生活習慣を少しずつでも変えていくことで、発病しないよう対策していきたいですね。

まとめ

  • 脳出血、クモ膜下出血の違いは、脳の中の細めの血管の出血か、脳の外の太めの血管の出血する場所・症状に違いがある
  • 脳出血・クモ膜下出血の前兆はあることが少ないため、検査して早めに治療・予防しておくのが大事
  • 検査をするなら、MRI/MRAで脳血管で細くなっている血管、詰まりやすくなっている血管をチェックする

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