若年性認知症の原因の割合は?平均発症年齢・初期症状はある?
若い年齢で発症する「若年性認知症」になる方が増えています。
若いといっても年齢の幅は広く、若年性認知症の対象となる年齢は、18歳~64歳です。
認知症が発症する年齢が、65歳以上なら「認知症」、64歳以下なら「若年性認知症」となります。
認知症になる方は、日本人の約10人に1人の割合でなるとされ、「認知症予備軍」の方も合わせると糖尿病にも匹敵する人数になってきているとされます。
そのため、若いても認知症になるリスクが高まっていて、早期発見・予防が大事になっています。
そこで、若年性認知症の原因の割合、認知症の種類、現れやすい初期症状などをご紹介します。
若年性認知症の原因の割合は?
若年性認知症の原因の割合は、次のとおりです。
若年性認知症の原因割合 | 割合 |
---|---|
血管性認知症 | 39.8% |
アルツハイマー | 25.4% |
頭部外傷後遺症 | 7.7% |
前頭側頭葉変性症 | 3.7% |
アルコール性認知症 | 3.5% |
レビー小体型認知症 | 3.0% |
その他 | 17.0% |
*厚労省の統計によるもの。
若年性認知症の原因のトップは、「血管性認知症」です。
血管性認知症は、脳梗塞・脳内出血・クモ膜下出血などの脳卒中による脳血管の病気から、認知症になってしまうタイプです。
アルツハイマーは、脳神経がアミロイドβ・タウたんぱくといった物質がたまっていき、老人斑(ろうじんはん)というシミができます。シミができると、脳の血流が低下し、脳が萎縮していきます。
頭部外傷後遺症は、事故やケガなどで、脳血管や脳神経にダメージを受けた後遺症による認知症です。
若い時になる認知症の多くは、脳血管の疾患・外傷によるものが多いです。
脳血管障害などの病気の際は、後遺症から再発の防止・脳機能の低下を定期的にチェックしていくことが大切です。
平均発症年齢は?
厚労省の統計によると、若年性認知症の平均発症年齢は、約51.3歳です。
男性:51.1歳、女性:51.6歳です。
若年性認知症の発症は、40歳~50歳前半にかけて増えていきます。
認知症の約30%が50歳未満で発症しています。50代後半の55-59歳以降は急増していきます。
認知症は、40代から認知症の予備軍が増えていくとされています。
そのため、40代~は認知症の予防・定期検査をしていくことが大事です。
若年性認知症の初期症状は?
若年性認知症の初期症状は次のとおりです。
若年性認知症の初期症状 | 割合 |
---|---|
物忘れ | 50% |
行動の変化 | 28% |
性格の変化 | 12% |
言語障害 | 10% |
若年性認知症の初期症状は、脳のどこに異常が起きているかにより、症状が変わってきます。
ただ、認知症で共通する症状として主に次の症状があります。(中核症状)
- 物忘れ
「物忘れ」は、認知症特有の「病的な物忘れ」が起きるようになります。病的な物忘れは、新しく体験したことを全部忘れてしまうなど、加齢による物忘れとは異なった忘れ方をします。
特に、新しいことを覚えられなくなります。少し前にしたことを体験ごと忘れてしまうといった症状がある時は注意が必要です。
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「行動の変化」は、コミュニケーション能力の低下、機械の操作ができなくなる、抑うつ状態になる、などです。行動の変化は、自分で気づくこともありますが、周りの人から「どうしたの?」という指摘されることが多いです。
記憶障害などから、同じことを何度も言ったり、一貫性のないことを話すことで、他人とのコミュニケーションが上手くできなくなることがあります。会話も意思疎通ができなくなることがあります。
また、自動販売機でジュースを買う、スマホの操作など、頭と手・足の連携がうまく行かず、これまで出来ていた機械の操作ができなくなることがあります。
若年性認知症では、抑うつ状態・意欲の低下などが起きることも多いです。抑うつ状態と診断され、認知症の診断が遅れることがあるので注意したいです。
- 性格の変化
「性格の変化」は、他人との意思疎通が上手く出来ないことで、怒りっぽくなる、自分勝手な行動を取りやすくなる、など性格が変わってきます。性格の変化は自分では気付きにくいです。家族などよく知っている方が初めに気付きやすいです。
- 言語障害
言語障害は、言葉をうまく使えないようになり、人との会話がうまくできなくなります。
前頭葉・側頭葉に血流障害が起きると、言語の記憶、理解が難しくなることが多いです。
若年性認知症の初期症状は、判断が難しく早期発見が難しいとされます。
心配になることがあれば、早めに専門医に相談して頂きたいです。
若年性認知症かもと思ったら?
若年性認知症かも?と思ったら、早めに認知症の専門医の診断を受けて頂きたいです。
認知症になる前段階として、「軽度認知障害(MCI)」という初期症状があります。
軽度認知障害(MCI)は、軽い記憶障害などは見られますが、総じて日常生活は問題なく送れているケースです。
仕事や日常生活で多少の問題があっても、そのまま放置してしまうことがあるので注意したいです。
軽度認知障害(MCI)は、「MMSE」「長谷川式認知症ステートメント」という口頭質問・MRI・SPECTといった検査で初期診断ができます。
ですが、若年性認知症の初期診断は難しいとされるため、認知症専門医の診断を受けることが大事です。
- 認知症を見る診療科
精神科・脳神経科・神経内科など→認知症の専門でないことがあるので、事前に確認が必要です。
- 認知症専門医
認知症学会に在籍する専門医です。
若年性認知症の診断の実績がある医師での診断を受けるとよいです。 - 認知症サポート医
厚労省が認定する困難な認知症事例に対応できる医師。
- 認知症コールセンター・地域包括支援センターに相談
どうしてよいか分からない時は、認知症のサポートをしてくれる相談窓口に電話相談するとよいです。
認知症コールセンターは、都道府県・政令指定都市に設置されている電話サポートです。公益社団法人「認知症の人と家族の会」の委託を受けて運営してされています。
地域包括支援センターは、市町村に設置されている公的な相談窓口です。認知症や病気の悩みや、介護の相談などができます。
若年性認知症かもと思ったら、早めに認知症の検査を受けることが大事です。
認知症の病院にいきなり行くのはちょっと・・という方は、認知症コールセンター・地域包括支援センターに相談できますので、各地域の相談窓口に電話してみて頂きたいです。
まとめ
- 若年性認知症の原因の割合は、血管性認知症・アルツハイマー・頭部外傷後遺症が約7割になる
- 若年性認知症の初期症状は、物忘れ・行動の変化・性格の変化・言語障害などがある
- 認知症の初期診断は難しいため、早めに検査を行い、早期発見・早期治療を行う