肝臓の数値が悪い原因は?若い・痩せても高いのはなぜ?
健康診断で肝臓の数値が悪い方が増えています。
普段、お酒を飲まなくても、健康診断の肝臓の数値が良くないことがあります。
肝臓は沈黙の臓器と言われるだけあり、肝臓に問題があっても
最初は、自覚症状がないです。
健康診断などの血液診断肝臓の状態を知ることで
早めに対処をしていきましょう。
健康診断の肝臓に関する数値は、
GOT(AST)、GPT(ALT)、γGTP、アルカリフォスファターゼ(ALP)、
血清ビリルビン(T-Bil)、乳酸脱水素酵素(LDH)があります。
これらの数値が基準値より高いと肝臓に問題がある
可能性がありますが、数値ごとの高さの比較をすることで、
肝臓が何の原因で問題になっているかが分かります。
肝臓の数値が悪い原因を知って、早めの対策をしていきましょう。
肝臓の数値が悪いのは?診断値から原因を探る
まず最初に肝臓に関する数値の基準値をチェックしましょう。
<GTP(AST)とGPT(ALT)の基準値>
- GOT(AST):10-40 (IU/l)
- GPT(ALT):5-45(IU/l)
GOTはGPTと2つをセットにしてチェックします。
GOTとGPTは、肝臓にある酵素で、アミノ酸の代謝に使われ、血液中に一定量存在します。
肝臓が機能低下すると、GOT・GPTが血液中に大量に流れだすため、異常があることが分かります。
検査値の状態 | 疑われる病気 |
---|---|
GOTが基準値以上、GPTが基準値以上 | 急性肝炎の疑い |
GOTがGPT以上、GPTが基準値以上 | アルコール性脂肪肝、肝硬変の疑い |
GOTが基準値以上、GPTがGOT以上 | 肥満の脂肪肝、慢性肝炎の疑い |
GOTがGPTより20以上高い、GPTが基準値以上 | 肝硬変の疑い |
<γGTPのチェック>
- γGTP:男性は80(IU/l)以下、女性は30(IU/l)以下
γGTP(ガンマ・ジーティーピー)は、肝臓の解毒作用のときに作られる酵素です。
そのため、γGTPが基準値より高い時は、解毒機能が低下していることを示します。 - GOT/GPTが正常、γGTPが高い→アルコール性肝障害
アルコールを飲まないのにγGTPだけ高いのは、
非アルコール性脂肪肝(NASH/ナッシュ)の疑いがあり、糖質のとりすぎによるものです。NASHでは痩せていてアルコールを飲まない方でも起きる方が増えているため、注意が必要です。
また、高ストレスの状態でも、γGTPが上がることがあります。
γGTPだけが高い時は、アルコールを飲んでいる方は、アルコールを控える、
飲んでいない方は、糖質を控えることで、γGTPを下げることができます。 - ALP(アルカリフォスファターゼ):80-300(IU/l)
検査値の状態 疑われる病気 ALPのみ上昇 肝臓含め、他の臓器の精密検査が必要 ALPとγGPTの両方が高い アルコール性の肝障害の疑い アルカリフォスファターゼは、肝臓・腎臓・骨などで作られる酵素で、
肝臓から胆臓に流れる胆管が詰まると、逆流を起こして、血液中のアルカリフォスファターゼ濃度が高まります。胆管周辺に問題があると、アルカリフォスファターゼ値が高くなります。
ですが、アルカリフォスファターゼは、肝臓以外にも
体の沢山の部分で作られているため、アルカリフォスファターゼが高いだけでは、
どこに問題があるのか分かりません。 - 血清 ビリルビン(T-Bil):0.2-1.0(mg/dl)
検査値の状態 疑われる病気 黄疸がある(白目や肌が黄色がかる)、尿が茶色になる 肝炎、胆管結石などの疑い ビリルビンは、赤血球が寿命を終えて、分解された時に、肝臓→胆臓→小腸に胆汁となって流れます。
このとき、肝臓に機能障害があると、血液中のビリルビン濃度が高まります。
ビリルビン値が高いと、肝臓・胆道などに異常がある可能性があり、精密検査が必要になります。
- LDH(乳酸脱水素酵素):120-200(IU/l)(JSCC標準化対応法による)
検査値の状態 疑われる病気 LDHが基準値~800IU/l 肝疾患、腎疾患の疑い LDHが800~1500IU/l ウィルス性急性肝炎、筋肉障害、血液疾患などの疑い LDHが1500IU/l以上 血液疾患などの疑い LDH(乳酸脱水素酵素)は、肝臓を糖質に変える時に働く酵素で、体中の細胞にある酵素です。
LDH(乳酸脱水素酵素)の血中濃度が高い時は、肝臓などの機能が低下しており、急性肝炎、肝臓がん、心筋梗塞などが疑われます。
LDHだけの値では、どの臓器に問題があるかわからないため、他の検査値を見たり、精密検査をする必要があります。
若い・痩せているのに肝臓の数値が高めに出るのは?
若くてアルコールを飲まないのに肝臓の数値が高くなる方が増えています。
γGPTのみが高くなる場合は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH・ナッシュ)の疑いがあります。
肝臓は、アルコールに弱いイメージですが、糖質(炭水化物)や脂質が多い
お菓子や、ポテトなどの食べ過ぎている方は、脂肪肝になっている可能性が高いです。
脂肪肝は、肝臓の細胞に脂肪がたまった状態で、肝臓の30%以上が脂肪になると、脂肪肝と呼ばれます。
肥満ではなく、痩せていても、脂肪肝になります。
見た目は、関係なく、脂質・糖質のとり過ぎが、γGPTの値を高くします。
そのため、痩せているからといって、お菓子などの甘いもの、炭水化物ばかりの食生活は、注意が必要です。
また、便秘がひどいと、腸内にアンモニアが発生し、それを肝臓が解毒することで、肝臓に負担がかかることもあります。
栄養バランスがよい食生活・適度な運動を心がけるようにしていただきたいです。
まとめ
- 肝臓は沈黙の臓器なので、健康診断の肝臓の数値は必ずチェックする
- 健康診断の肝臓の数値を見比べて、原因を特定する
- 若くても、痩せていても脂肪肝になるので注意